バンクーバーの秋が好きになった

いつも通りの朝のバスに乗り、いつも通り保育園に行く。
昨日4歳の誕生日を迎えた娘は、今までで一番大きな声でバスの運転手さんに「Thank you!」と言ってバスを降りた。曰く「お姉ちゃんになったから」だそうだ。
バス停から保育園までの数百メートルで、娘がふと足を止める。「きれい〜」と見つめる先には、緑が生い茂る歩道沿いに生える草花についた雨粒が、秋の朝の光でキラキラと光っていた。
ふと懐かしい気持ちになった。6月末にカナダに来て、その間に雨が降ったのはたったの2,3日かそれくらいで、雨のあとの風景というのをすっかり忘れていた。

バンクーバーの夏というのはカラッとしていて過ごしやすい。青い空のゆらぎのない毎日がそれこそ2ヶ月以上続く。どこまでも快適で、でも代わり映えのしない永遠。

それがふと気がつくとすっかり寒くて、葉っぱの色は変わり始めて、雨が降ったりやんだりする。太陽の光がやわらかい色になって、影の境界線が曖昧になり、その美しさにため息が出た。これがバンクーバーの秋なんだ!

これまで住んでいた京都は、山と水辺と街とが調和した風景が美しく感じられるところが好きだった。いっぽうで夏のバンクーバーの住宅街や川辺の景色は、キレイだなと思いつつも、そこまで心が動くことはなかった。忙しさや老いで感受性が鈍ったのだと思って寂しく感じていたがそうではなかった。秋のバンクーバー、めっちゃいいやん……!

そんなことがあって、自分が何を美しいと思うのかがすこし理解できた気がした。私は、光の穏やかさや、湿っぽさ、昨日と今日とで違うゆらぎのあるものに美しさを感じるのかもしれない。
バンクーバーはこれから半年以上雨が続くみたいで、こんなことを言ってられるのは今だけかもしれないけれど、バンクーバーにも好きな風景が見つけられて良かった。


著者:yulily(ゆりりー)
2023年6月末から夫と娘(4歳)でバンクーバー郊外に住んでいます。
ブログでは子連れでの海外移住やカナダでの暮らしのことについて書いています。カナダでのできごとはTwitterにも書いているので、よければフォローお願いします!